あからさまな「魔法」は存在しない世界。騎士・兵士は剣と楯で戦い、交通手段は馬がメイン。
一部で魔術師と呼ばれる人々は、うさんくさいマジナイを行うだけで、今となっては数も少ない。
かつては本当の「魔法」も使えた、と言われている。
人間のみならず、半獣人も住み暮らしており、その形態は様々。
もっとも恐ろしい生物はドラゴンであり、成体のドラゴンに出会って、生きて帰れる者はいないと言われている。

物語の舞台となる国々は、大陸の中央に位置する諸国。大陸には、大小含めて10を越える国々が存在している。
主人公、リュウ・ドナルベインの住み暮らす国は、大陸の中央にある大国、テクスフォルト王国。海を持たない国でもある。
王室直轄の領地に加えて、地方では貴族諸侯が領主として君臨する国家形態をとっている。
テクスフォルト王国の西端に接する隣国は、トランザニア公国。
二つの国の間には大森林が広がっており、天然の防壁となっている。

大森林に面する形で、いくつかの小さな村が存在する。
主に牧畜・農業・林業で暮らしを立てている地域だが、近隣に良質の岩塩鉱山があるため、村の男たちは出稼ぎに向かうことが多い。
海を持たないテクスフォルト王国にとって、岩塩は貴重な存在。男たちが出稼ぎで不在の間は、村の女たちが働いている。
リュウの任地「ポルカ村」は、そんな村の中の一つで、人口80人ちょっとの小さな村。
名産品だった「ポルカの赤麦」を主力に、牧畜、革製品、織物、森の恵みを行商人に売って、基本的には自給自足の生活を営んでいる。